植物の生育に必要なもの

 植物を育てるのに必要なもの。土、水、肥料、日光、空気。

 これらの一つでも欠けると植物は生きていくことができないが、これらのうち、我々趣味の園藝家が工夫できるのは肥料の配分と水やりの注意くらいのものである。

 肥料は必須のものが窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)でその効用は覚えておいた方が良い。窒素は葉肥(はごえ)とも言い、植物の体(根や茎や葉)を作るのにつかわれる。燐酸は花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)とも言い、花や実を付けるのに使われる。私のような趣味の園藝家には重要視される成分である。カリはカリウムのことで、根肥(ねごえ)とも言い、根を育てるのに使われ、植物を丈夫にする働きがある。これら三大栄養素についで必要とされるのがカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S・いおう)である。火山の多い日本では硫黄が不足することは少ないので市販の肥料に配合されているのを見たことはないが、カルシウムやマグネシウムが配合されている肥料は時々みかけることがある。私の経験上カルシウムやマグネシウムの施肥にあまり気を配る必要はないようだ。

 植物の生育に最も重要なのは日光、陽当りである。これがどんな肥料よりも重要であることは疑う余地がない。しかしながら自分の努力で日照を増やすことはできない。自分の土地を陽当りの良い場所へもっていくことはできないからである。可能なのは、比較的陽当りの良い場所を探して植物を植えることだけだ。だからこれは知識として知っておけばよいことである。

 そして、これら必須の条件の他に、植物を活性化させると言われるものがある。多分に効いた気がする程度のものなのだが、まじない代りに使用している方も多いのではないだろうか。かつての私もその一人だったのである。

 その代表的なものが木酢液だ。

 木酢液は500倍程度に希釈して植物に散布すると虫除けや植物を活性化させる効果があり、1000倍に希釈して水遣りの代りに使用すると根張りがよくなるとされている。木酢液は10日ほどで分解されるため、二週間おきに散布すると良い。

 植物を植える前なら土壌の消毒に使用することもできる。20~30倍の高濃度希釈液は灌水することで土壌を消毒する作用もあるのだ。この場合も木酢液は10日ほどで分解されるので、散布後二週間ほどで植物を植えることが可能である。最近は面倒になって使用していないが、私も以前は愛用していたものだ。

 私はやったことがないのだが、蜂や猫の忌避剤として使用している方もおられるようだ。

 工業製品として昔から有名なのが、フローラのHB-101である。

 HB-101は、杉、檜、松、オオバコより抽出した天然植物活力液で、安全・無害で減農薬栽培や有機栽培にピッタリとされている。1000倍から3000倍に薄めて、一週間から十日に一度、葉にかけたり根元に灌水したりすることで、植物の生育を促進する。やや高価だが、古くから途切れずに販売されていることから考えると、効果を実感している方も多いのだろう。コストがかかるので最近は使用していないが、これも以前は愛用していたものだ。

 植物の活性剤とは異なるが、無農薬栽培に活用できるのがニームオイルである。

 ニームオイルは昆虫の脱皮を阻害するため、虫除けの効果がある。インドでは古くから虫下しとして使用されてきたようで、人体への悪影響はないと考えて良いだろう。薔薇の栽培におすすめの資材であるが、文字通り油であるためそのまま水で薄めることができない。希釈して葉に散布するためには、乳化剤と展着剤が必要で手間がかかるのが玉に瑕である。私は、土中に潜んでいる害虫にも効果があると思っているので、水で薄めて土に撒いている。実際に効果があるかは断言できないが、効いていると思っている。

 薔薇の栽培に活用してきたのがバイオゴールドである。

 これも植物の生育を旺盛にするとされ、葉面散布や土壌への灌水で使用する。以前は薔薇の栽培に愛用していたが、高価なのでいつの間にか使わなくなってしまった。効果は実感できたので、金額が気にならないのならおすすめできる商品である。

 ここで挙げたもので必ず必要なものは日照と肥料と水くらいのものである。それ以外は気休め程度に考えて利用してみてもらいたい。やるべきことが増えると苦痛になる場合もあるので、無理のない範囲で使用してみればよいのではないだろうか。

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