厳冬の中の草花

 日本列島が寒気に包まれている。私の暮している埼玉県でも最低気温が氷点下5度になったらしい。早朝に出窓のアルミサッシを確認したら、結露が凍り付いているほどであった。

真冬の薔薇「グラハム・トーマス(Graham Thomas)」(2021年12月26日撮影)

 本来なら、この時期まで残しておくべきではない薔薇の花。つる薔薇の仕立て直しをしたときに、切り取るべきだったのだが、最後の花を観たくて残しておいた蕾。寒さのために完全に開ききることができないようだ。折を見て、切り取ってしまわなければならないと思っているが、この美しさになかなか踏ん切りがつかないのである。

寒さにしおれたロベリア「アズーロコンパクト」(2021年12月27日撮影)

 ロベリアも夏の花。季節が終ってもなかなか枯れる様子がないので、思い切って冬越しさせてみようと思っているものである。写真では判りにくいが、耐寒性を持っているはずもないロベリアは寒さに新芽がしおれてしまった。

 それでも、小さな蝶のような花が少しだけついていることがお判りになるだろうか。

耐寒性の強いヒューケラ (2021年12月27日撮影)

 一方で、耐寒性の強いヒューケラは寒さをものともせずにいつもと変らぬ姿を見せている。最近、ヒューケラの美しさが気になっているので、これから作る寄せ植えに積極的に選んでいきたいと思っている。苗の価格が比較的高価なのであるが、多年草なので長く使えることを考えると、コストパフォーマンスは悪くないのではないかと思っている。

 ビオラやスィート・アリッサムも、厳しい寒さに何の問題もななかったようだ。アリッサムは花の終りが近づいたようだから、折を見て花柄を摘まなければならないだろう。が、今はまだ寄せ植えの中で花の存在感が強いので、それももうしばらく後のことだ。

寒さにしおれてしまった紅葉葉(もみじば)ゼラニウム(2021年12月27日撮影)
寒さにしおれてしまった紅葉葉(もみじば)ゼラニウム(2021年12月27日撮影)

 紅葉葉(もみじば)ゼラニウムは耐寒性があまり高くない。冬の寒さを心配していたのだが、やはり寒さで傷んでしまった葉があるようだ。タグの裏側を見ると、凍らなければ戸外でも大丈夫という意味のことが書かれていたが、霜が降りなければ大丈夫と勝手に解釈している。今朝のマイナス5度の寒気は何とかしのいでくれたようである。

 

真冬の薔薇

 我が家のグラハム・トーマス(Graham Thomas)が花を咲かせようとしている。この間、写真を撮ったときは花が開ききってしまっていたけれども、今日の薔薇は整った姿を見せてくれた。蕾が開こうとして、膨らみかけた瞬間。この時こそ薔薇が最も美しく見える時なのである。

真冬に咲いたグラハム・トーマス(2021年12月19日撮影)
真冬に咲いたグラハム・トーマス(2021年12月19日撮影)

 グラハム・トーマスは、英国の育種家、デビッド・オースチン(David Austin)の作出した薔薇。イングリッシュ・ローズの名で販売されている。野性味を残したオールド・ローズの花の姿を残しながらも、四季咲き性をもった強健な薔薇は、おすすめできる品種ばかりである。

最後の蕾(2021年12月19日撮影)

 蕾がひとつだけ残っている。が、咲くだろうか。

 寒さで凍えてしまうのが先か、それとも花を開かせるのが先か。

冬の花たち

パンジー(2021年12月12日撮影)

 ハンギング・バスケットに咲いたパンジー。パンジーは花が豪華でよいのだが、陽当りがよくない場所に置くと花付きが悪くなる。暖かくなるまでの間は、花の付かないこともある。環境の悪い我が家では、やや扱いにくい品種である。

ビオラ(2021年12月12日撮影)

 ビオラは生物学的にはパンジーと同じ品質である。違いは、花の大きさである。パンジーの方が花が大きく、ビオラは比較的小さい。ビオラについて特筆したいのは、その花付きのよさである。パンジーの開花が止まっているような時でも、冬を通してたくさんの花を付けている。ガーデニング初心者におすすめの品質で、これを植えておけば、失敗することは少ないだろう。

 我が家では、毎年欠かさずに植えている。冬の園藝に欠かせない品種である。

玄関の寄せ植え(2021年12月12日撮影)

 上の写真では、ストック、金魚草も花を付けている。金魚草も、陽当りのよくない場所に植えても、花付きはよい方だと思っている。花もちもよい。

 ストックについては、先日いろいろと書いたばかりだが、花もちが良いことだけ、もう一度書いておこう。

冬越し柱のロベリア「アズーロコンパクト」 (2021年12月12日撮影)

 この夏手に入れたロベリア「アズーロコンパクト」。花期が終ったのに花が終らないので、余っていた鉢に適当に移植したものだが、師走に入っても元気に花をつけつづけているものだ。青々とした葉が付いて、一向に勢いが衰えない。

 捨て去るのも忍びないので、冬越しに挑戦中である。

名残の薔薇「グラハム・トーマス(Graham Thomas)」(2021年12月12日撮影)

 つる薔薇として仕立てているグラハム・トーマスが一輪花を付けている。花の美しい時を逃してしまったようだが、来年までしばしの別れだと思うと、愛おしく感じるものだ。

 これから、本格的な寒さがやってくるが、もう少しの間だけ、めげることなく咲き続けてもらいたいものである。

庭に出れば今日も発見がある

 つれづれに庭に出ればいつも何か発見がある。季節にかかわりなく、いろいろな業務を処理していくのが私の仕事なので、日常生活で季節の移り変りを感じることは少ない。だが、こうして仔細に植物を見ていると毎日何かしらの変化がある。

 植物は日々の気温や日射の変化を感じて、時が来ると過たずに成長し、花を咲かせる。

 日常の雑務を忘れて、時に植物のリズムに意識を向けてみることも必要なのではないだろうか。

夏を越したガーデン・シクラメン(2021年12月12日撮影)

 夏の間姿を消してしまっていたガーデン・シクラメンが、特徴的な葉を展開している。間もなく花芽が上がってくることだろう。以前、いくつか植えたガーデン・シクラメンのうちで、一株だけが今も残っている。

夏を越したベゴニアと水仙の芽 (2021年12月12日撮影)

 いつ植えたのか記憶にないのだが、ベゴニアが芽を出している。肉厚の特徴的な葉は、間違いなくベゴニアのものである。かつて植えていたベゴニアのこぼれ種が芽を出したのだろうか。

 ベゴニアを撮影した写真の左上に水仙の芽が出ているのが写っている。早春に美しい花を咲かせる水仙は、今年も季節を知って芽を出した。黄色の水仙がたくさん咲くことだろう。

水仙の芽(2021年12月12日撮影)
チューリップの芽(2021年12月12日撮影)

 寄せ植えに入れた球根から、チューリップも芽を伸ばしている。チューリップの球根は昨年咲かせた株から回収したものだ。球根を再利用して植えるのは初めての経験なので、きちんと花を咲かせるかどうかは、賭けのようなものである。

クリスマスローズの新芽(2021年12月12日撮影)

 クリスマス・ローズも新しい葉を伸ばし始めた。これから寒くなるというこの時期に芽を出すのは、来年の春のために準備が必要だからだろう。深遠な神の摂理を感じるようである。

クリスマス・ローズと花にら(イフェイオン)(2021年12月12日撮影)

 春になるとクリスマス・ローズの葉が繁ってしまい、全く見えなくなってしまう花にら。だから、随分前に球根を掘り上げて別の場所に移植したのであったが、取り残した球根が勢力を伸ばしている。青い可憐な花を付けるイフェイオンである。

葉色の美しいヒューケラ(2021年12月12日撮影)

 最近、寄せ植えに迎えたヒューケラ。形容するのが難しい深い色合いを持っている。観葉植物として寄せ植えに入れたけれども、花も咲くらしい。寒さのせいか、植えたときからあまり変化が感じられない。かと言って、元気がないというわけでもない。耐寒性の高い植物のようなので、元気に育ってくれるはずだ。

久し振りに植えたらストックの花もちが良くなっていた

 ストックという花。伸びた花茎のまわりにたくさんの花が付いて、豪華な印象で冬の寄せ植えによく使われるものだ。しかし、私はあまりこの花を好んではいなかった。ガーデニングを始めた頃、パンジーなどと一緒に植えてみたのだが、花がすぐに終ってしまい、新しい花芽が出てくることもなかった記憶があるからである。

 しかし、最近秋冬の寄せ植えを作っているYouTubeを見ていたら、ストックがおすすめの花として取り上げられていたので一株だけ植えてみた。

ストックを植えた日の写真(2021年10月24日撮影)

 半信半疑で、ストックを一株だけ採用。後方の寄せ植えにあるピンクの花を付けたやや背の高いものがストックである。まだ、咲きはじめの状態。

一月経ったストック(2021年11月28日撮影)

 植えてから一月が経ったストック。花が咲き進んで、見応えがある。ビオラがまだ育ち切っていないので、この寄せ植えの主役になっている。それでも、パンジー、ビオラが少しだけ大きくなり、アネモネの葉が出てきたので、寄せ植えのボリューム感が出てきた。

 ストックはまだ主役と言ってよい存在感を示している。

まだまだ咲き続けるストック(12月5日撮影)

 相変らず花を付け続けるストック。近くでよく見ると花柄も見受けられるけれど、引いた視点から全体を見ると十分に鑑賞に値する。育ってきた紅葉葉(もみじば)ゼラニウムが美しい。

まだまだ咲き続けるストック(12月5日撮影)

 拡大すると粗も目立つが、それも咲いている花に隠れてしまいあまり気にならない。ストックはこまめに花柄を摘むと良いとされているが、私の記憶では、気付いたときにニ、三度咲き終った花柄を房ごと切り取った程度である。

まだ咲いているストック(2021年12月12日撮影)

 植えてから一月半。ストックはまだ存在感を持って咲き続けている。寄せ植えも全体的にさらにボリューム感が出て良い感じになってきた。

まだ咲いているストック(2021年12月12日撮影)

 とはいえ、ストックは本来春に咲く花。この花が終ったら、しばらく休息期間に入ってしまうかもしれない。それでも、二箇月近くものあいだ、休まず咲き続けてくれていることで、私の中で、ストックという花への印象は大きく変った。一度の失敗で駄目と決めつけてしまわず、何度か試してみることも必要だったようだ。

 単に、最初に私が選んだストックの株がハズレだっただけなのかも知れないし、私がストックを敬遠している間に品種改良が進んで、長期間咲く良い花が開発されたということかもしれない。

 インターネットで調べてみると、ストックは地域によっては冬の間も咲き続けるようだから、花が終った後に切り戻せば、続けて花が見られる可能性は残っている。これからの楽しみの一つである。

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