晩春から初夏へ

 今年の立夏は5月5日。暦の上では5月4日が春の最後の日だ。夏になって本格的な暑さがやってくると、鉢物の水遣り、雑草取り、害虫駆除、花柄摘みに草木の剪定と作業量が増えて、園藝家にとってはつらい日々が始まる。

 そうなる前。晩春から初夏の庭はまだ落ち着いていられる。庭にいても風が心地よい。

晩春の庭(2021年5月4日撮影)

 見えているのは、開花間近の薔薇ラブリーメイアン、クレマチスのザ・プレジデント、つる薔薇ピエール・ド・ロンサール、新芽が伸びてきた木槿(むくげ)、新緑が美しい秋明菊、桔梗(ききょう)、クリスマスローズ、そして一番手前に見える黄色い花が今年植えたばかりのヘメロカリスである。

晩春に咲くヘメロカリス(2021年5月4日撮影)

 土の上に見える黒いものは、倉庫の片づけをしていたら出てきた古いバーベキュー用の木炭を砕いたもの。二十年以上倉庫で眠っていたと思う。土壌改良のつもりで土に混ぜたのだが、あまり細かく砕けなかったので効果のほどは不明である。

晩春に咲くヘメロカリス(2021年5月4日撮影)

 今年植えたヘメロカリスの最後の蕾(つぼみ)が開いた。次に開花するのは一年後になるのだろうか。繰り返し咲く品種なら、今年のうちにまた花が見られるかもしれないのだが。

ピエール・ド・ロンサール(2021年5月4日撮影)
ピエール・ド・ロンサール(2021年5月4日撮影)

 ピエール・ド・ロンサールの開きかけた蕾。淡いピンクからピンク色の花弁先端までのグラデーションが美しい。一季咲きの薔薇だが、誘引する場所さえあれば強健で育てやすくおすすめの品種である。

晩春のクレマチス(ザ・プレジデント)(2021年5月4日撮影)

 今年はクレマチスをフェンスに誘引してみた。大輪の花は先日の強風のせいか傷んでいるようだが、それでも涼しげで美しい。一度植えれば、冬の剪定以外はほとんど何もする必要がないくらい育てやすい。そして強健な品種である。

金魚草(2021年5月4日撮影)
金魚草(2021年5月4日撮影)

 この金魚草は去年植えて家電で冬を越したもの。背が伸びすぎていたので花後に切り戻すつもりだったのだが、先日の春の風雨にさらされて花が軒並み倒れてしまった。支柱と麻紐で姿勢を矯正したのだが、それでも花は横を向いてしまっている。特徴的な形の花は健気にも美しい。

初夏に咲くピエール・ド・ロンサール(2021年5月5日撮影)

 そしてこれが初夏の薔薇。ピエール・ド・ロンサール。この薔薇は開きかけたこの状態が最も美しい。カップ咲きの花形とピンク色のグラデーションは至高の美しさと言っても良いだろう。

 5月5日から夏が始まった。夏の花、薔薇の季節がやってくる。