古河桃まつりに行って来た。会場は古河公方公園(茨城県古河市鴻巣399-1)(古河総合公園)だ。ここを訪れたのは、2019年3月22日金曜日。古河市観光協会のサイトによると桃は五分咲きだったそうだが、花見としては十分に楽しめる状態であった。
私は、七分くらい咲いていたように思うのだが、どうだろうか。
古河公方公園の名称を見て、初めは不思議に思った。公方といえば将軍のことだと思い込んでいたからだ。そして、私の知る限り、将軍が古河に居を構えたことはないはずだったからだ。
そう思って、少し調べてみたのだが、足利尊氏の開いた室町幕府。その足利尊氏の血を引く足利家の分家が関東を治めるため、初め鎌倉の地に入ったのだが、この分家の権力基盤が脆弱であったために、鎌倉に入って五代目の足利成氏の時に至って、本来は自身の補佐役であった関東管領と本家筋である室町幕府に攻められた結果、成氏が鎌倉を放棄して古河に根拠を映したことに由来するそうだ。
公方は将軍ではなく、室町時代後半に「将軍の公権力の代行者として君臨した足利将軍家の一族の者の肩書きとして用いられた(ウィキペディア(Wikipedia)から引用)」ということだ。
そんな、歴史を持つ古河公方の名称を冠したこの公園は、古河公方の館の跡地である。足利尊氏の血を引いてはいるが、補佐役には見限られ、本家ともうまくいっていない。そんな古河公方がこの後訪れる戦国時代を生き延びられるはずがない。
信長、秀吉、家康の活躍する時代にはその勢力は消滅してしまったようだ。
さて、歴史上の出来事とはかかわりなく、桃の花は長閑(のどか)に美しく咲く。幸いにも、この日は曇ってはいたが温かで風もなく、花見には悪くない天候であった。
古河公方公園の名称の由来を知らずとも、花を愛でながら公園を散策することはこの時期にしか味わえない楽しみだ。花を眺めながら(写真を撮りながら)公園を歩くと一時間程度で一通り見て回ることができる。
散策に飽いたら、野点(のだて)を楽しむのが良い。
抹茶に和菓子がついて一服五百円。写真を撮影しながら公園を巡って、思いのほか疲れていたらしい。緋毛氈の敷かれた木製の長椅子に腰を掛けて抹茶を喫すると、微かな疲労感が体の隅々まで拡がって、不思議に心地好い気分になる。見慣れたはずの桃の花にさえ、新たな感動を覚える。
私は、茶道には全く縁のない人間なのだが、こうした機会に喫(の)む抹茶は非常に美味しく感じる。同じ茶葉から創られた飲み物なのに普段飲む煎茶とこれほど味が異なるのはどうしてなのだろう。そんなことを考えながら、桃の花と菜の花を眺める。
日頃、分刻みで仕事をこなさなければその日の業務を終らせることができない、そんな日常から解放されて眺める桃の花は格別。味わう抹茶は至極であった。
関東地方で今、花を見るならここ古河公方公園(古河総合公園)がおすすめだ。4月5日まで「古河桃まつり」が行われているので、出店での飲食も楽しめる。ちょっと花でも見に出掛けてみてはいかがだろうか。
園内には古民家園も
古河公方公園の中には「民家園」があって、移築された古民家を見学することができる。時間的余裕があるのなら、のぞいてみると面白い。
そして、この民家園のすぐそばに、前述の「史跡古河公方館址」の石碑がある。つまり、古河公方の館がこの場所にあったということである。