グラハム・トーマス(Graham Thomas)が今年も開花した。花色は、深い黄色から咲き進むとやや白みを帯びた色に変化する。強健で育てやすく、美しい薔薇である。
私は、何種類ものバラを手に入れて庭や鉢植えで育てたけれども、今も残っているのはこのグラハム・トーマスと、ピエール・ド・ロンサール、そしてラブリー・メイアンの三種だけだ。どれも強健で育てやすい品種であるが、これから薔薇を育てようとする方には、このグラハム・トーマスかピエール・ド・ロンサールをおすすめしたい。ラブリー・メイアンはおすすめしている方も多いようだが、花の形があまり美しいと感じられないので、私はおすすめしない。花の形が悪いのは、私が育てている個体特有の問題なのかもしれないけれども。
グラハム・トーマスは四季咲きであるから秋にも花が咲く。ピエール・ド・ロンサールは一季咲きなので、初夏にしか花を見ることはできない。しかし、花の優雅さ素晴らしさではピエール・ド・ロンサールが上だ。強健さ育てやすさはどちらも同等。花の美しさを取るか、秋にも咲くことを取るかでどちらを選択するか決めると良い。どうせ、薔薇に手を出したら一株で終るはずがないのであるから、どちらも手に入れたらよいのではないかと思う。
薔薇は花の女王。仕えるのがなかなか大変であるから、たくさん育てるのはおすすめしない。薔薇を手に入れたいという誘惑に耐えることはなかなか大変なのだが、私のように週末にしか手入れができないのなら、三株から五株程度に抑えておくことだ。衝動買いせずに、十分に調べて、これぞという品種をこそ手に入れるべきである。
グラハム・トーマスは本来シュラブローズだが、つる薔薇として育てることも可能である。我が家では玄関先の花壇に、無粋なブロック塀を隠すようにつる薔薇として育てている。毎年この頃になると、一斉に大量の花が開花して見応えのある光景となる。今年も、間もなく満開となることだろう。薔薇のそばに置いてある鉢植えの花々も競うように花を付けていて、美しいと思う。