アネモネが開花した

 アネモネが開花した。

 明日は春分の日。春たけなわである。

 毎日、朝に晩に蕾(つぼみ)のアネモネを見てなかなか咲かないと思っていたのだが、今日たまたま家にいて、昼に開き夜に閉じたアネモネの花を見て思ったことがある。

今年最初のアネモネの花(2021年3月19日撮影)
今年最初のアネモネの花(2021年3月19日撮影)

 本当は既に開花していたのに、咲いていることを私が知らなかっただけなのではないか。昼間家にいないので、咲いている姿を目にすることがなかっただけなのではないか、ということである。

 遠い昔にアネモネを植えたことがあったはずだが、咲いた花が夜に閉じることは記憶になかった。そして、アネモネの花は、夜の間、蕾に戻ったかのように綺麗に花を閉じることができるのであった。(夜のアネモネの写真はありません。)

風にそよぐアネモネ(2021年3月19日撮影)

 アネモネの名はギリシア語の風(anemos)が語源になっている。長く伸びた花茎の先に咲いたアネモネの花は、わずかな風にもゆらゆらと揺れて風の花と呼ぶに相応しい風情を持っている。英語ではwindflowerとも呼ぶらしい。勿論anemoneとも呼ぶようなのであるが。

 イエスの説教にある「野の花(古い翻訳では野の百合となっている)」の一つがアネモネであるという説がある。私は新約聖書の地を訪れたことはないが、アネモネの原種は彼の地に自生しているということなのだろう。

 だから、アネモネの花を見る時、私は少しだけ厳粛な気持になるのである。 

 なにゆゑ衣(ころも)のことを思ひ煩(わづら)ふや。野の百合は如何にして育つかを思へ、勞せず、紡がざるなり。されど我なんぢらに告ぐ、榮華を極めたるソロモンだに、その服裝(よそほひ)この花の一つにも及(し)かざりき。

文語訳聖書(マタイ6:28,29)
アネモネのある寄せ植え(2021年3月19日撮影)

 今年はパンジーの寄せ植えにチューリップとアネモネの球根をしのばせてみた。結果は写真のとおりである。ほんの少しの出費と、ちょっとした工夫でこんな素敵な寄せ植えになった。(ボサボサなだけじゃないか、とは言わないでください。)

 冬の間はパンジーの寄せ植えとして、春はパンジーのある球根植物の寄せ植えとして、それぞれ違った表情を見せてくれる。

 そして、これから、チューリップの花が咲くはずである。三つ植えたチューリップの最後の一つが芽を出していないが、そのうち出てくることだろう。いや、アネモネやパンジーをかき分けて探せば、既に地上に顔を出しているのかも知れない。

 愉しみはまだまだこれからだ。

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